01.アイアン

BLOG一覧

「中庭のあるアトリエ空間併設の家・引渡し」

01.アイアン05.玄関・アプローチ00.現場11.ネイチャー・デコール05.中庭20.『中庭のあるアトリエ併設の家』

 

みなさん こんにちは

ネイチャー・デコールの大浦比呂志です。

 

東京立川市で進めてきた、

「中庭のあるアトリエ空間併設の家」

予定よりもずれ込んでしまいましたが、昨日無事に引渡しとなりました。

 

オーナーの「Nさん」ご家族は、もともと住んでおられたこの場所の

古い賃貸家屋付きの鉄筋の建物を解体し、建て替えという形でこの家が完成しました。

 

敷地も90坪強という広さに、延べ床面積は約70坪で、

親子三人がお住まいになる、というゆったりとゆとりのある計画でした。

中庭を中心に、1階部分はお母様の趣味のゾーンでもあるアトリエ併設の共有フロア、

そして2階を、お嬢さんの住居スペースと言うことで、

ほぼ平屋部分を大きく割いた、伸びのある間取りです。

 

中庭に面した1階部分は、平均天井高を2700ミリに設定し、

海外仕様のスケール感になっています。

 

 

 


まだ、外構工事や家具の搬入が引き続きおこなわれますが、

今日は内部の引渡と言うことで、工務店から「Nさん」への鍵の受け渡しです。

 

 

 

 

エントランスホールのシーンを少しだけご紹介しますね。


玄関前のポーチはオリジナルのアイアン門扉でワンクッション

アイアン門扉と、インターフォンや宅配ボックス、表札が組み込まれる

門柱が、スチールで一体にデザインされています。

 

このポーチには、車いす対応のスロープと、一般アプローチと二方向から

アクセスすることが出来ます。

ゆとりを持たせたポーチには、これからシンボルツリーが植えられます。

 

 

 


このアイアン格子のディティールには少々面倒な手間を掛け

こだわって作られています。

鍛造スチールの丸棒をくり抜いて一本一本に貫通させています。

連続されたその格子の形状を見ると、とても重厚で手作業で丁寧に作られた

迫力を感じます。

 

 

 

 


そしてアイアンの門扉を開けると、19世紀のフランスのアンティークの

両開きドアがこの家の象徴としてガツンと迎えてくれます。

アイアンと重厚なドアがバランス良くとても良い面構えになっていますね〜

アンティークの玄関ドアはリペアした後、

落ち着いた渋めなグリーンで再塗装しました。

 

 

 

 


玄関前のポーチに入ると、今度はこの家の心臓部でもある、中庭が見えてきます。

中庭への入口は、工事中に出会いがあった、素敵なアンティークのアイアンフェンス。

 

これから中庭には植栽が植えられ、ガーデンファニチャーがセットされます。

 

なんかアプローチからワクワクしてきます。

そして内部はまたのお楽しみで〜

室内が整いましたら、またこちらから紹介させて頂きますね。

 

 

大浦比呂志(ネイチャー・デコール主宰)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「インダストリアルなディテールで」

01.エージング・ペインティング01.ドア01.アイアン04.ロフト&SOHOスタイル04.ブルックリンスタイル(ニューヨークスタイル)20.『ロフトスタイルの家・2019』

 

みなさん こんにちは

ネイチャー・デコールの大浦比呂志です。

 

先日引き渡した「ロフトスタイルの家・2019」

引き続き、アイアン廻りのエレメントについて紹介します。

この家は、家のテーマに沿って無機質な質感やアイアン

などの素材感でインダストリアルな表情で構成されています。

 

 


 


 

エントランスの門扉はオリジナルデザインの製作品。

スチールの丸パイプを主材にフラットバーと組み合わせています。

ディテールは口径をフラットバーの接合部分で太く切り替え、

横桟のフラットバーに貫通させています。

鍵部分もオリジナルで製作。

仕上げは、スチールの部材を亜鉛ドブ付け塗装で、

あえて無骨な表情に。

 

 

 

 


 


外の門扉まわりの照明やインターフォンプレートも、

黒で仕上げてある既製品を亜鉛風ペイントでエージング。

パナソニックの名前も自然に消しています。

ここは、門扉と合わせて、統一感をもたせています。

 

 

 

 


 


 


玄関の顔、本当に良い表情で出来上がりました。

玄関ドアも、門扉と同様でオリジナルデザインの製作品。

このドアはかなりの重量があったので、構造の柱脇に

鉄骨の柱をだかせて、そこから溶接で鉄筋を出しドアの枠を

溶接止めして躯体と一体化して強度をとりました。

大きな3枚の丁盤でドアを吊り

枠・ドア本体をスチールでセットで作り組み込んでます。

 

窓もないハードなリベットを打ち込んだいかにも倉庫の様な

無骨なドア、大きなノッカーが印象的です。

ドアハンドルもシンプルながら接合部分の裏と表で

ディテールを変えています。

ノッカーもハンドルもすべて製作品です。

 

 

 

 


室内のスイッチやコンセントも工場のように、

スチールの露出配管で納め、配管自体もエージング塗装で

亜鉛びきの様に素材感を出して仕上げています。

 

 

オリジナルデザインの製作品と合わせて、

既製品にひと手間加えてみたり、

ちょっとした気使いでディテールを納めていくことで、

空間にリアリティを生み出します。

 

 

大浦比呂志(ネイチャー・デコール主宰)

 

 

 

 

 

「空間の神はディテールに宿る・その2」

02.古材01.アイアン08.アート&ディスプレイ00.現場02.ガラス001.大工の技02.床材・その他20.『ミシュラン2スター・鮨の名店』

 

皆さん こんにちは

ネイチャー・デコールの大浦比呂志です。

 

「空間の神はディテールに宿る・その2」として、

この夏から手掛けてきたショップデザインの中のエレメント集。

 

先日に引き続き、

空間の中の細部に魂として宿っていく、作り手の手から生まれたモノや表現。

そんな空間のエレメント、アートワークスの一部を

製作中の風景〜完成し納まっている様子お見せします。

 

 

 

 

○ 古材のランダムパッチワーク&レジンフィニッシュのカウンター

空間.5-3

 

空間.5

空間.5-2

長さも巾も厚みも違う荒削りな古材、

色味や傷具合の表情も違うものを、感覚的にバランスを見ながら並べていき、

ベースとなる古材のパッチワークを決めていきます、どこをとっても人任せには出来ない所。

それだけでも充分なオリジナル感はあるのですが、今回はその上から「レジン」(合成樹脂)

で仕上げるという手法。ベースの古材に段差があるので厚い部分では10㎜近く肉厚にレジンを

乗せていく。レジンを通して古材を見ていくような独特な仕上げ感と質感。

このレジンの作業は工場で何工程にもおよぶ肉付けを行い、

更に磨きあげ、最終フィニッシュは現場に納品後、ジョイント部分や磨き出しを行うという

相当な手間の掛かるもの。

完全に硬化するまでは時間を要するので、非常にデリケートな仕上げではあるが、

出来上がりは唯一無二のものであり、今後色々な可能性を感じる素材である。

 

 

 

 

 

 

 

○ オリジナルアイアンワークのモノ達

空間.7

空間.7-2

空間.7-3

空間.7-4

空間.7-5

空間.7-6

手すりや真鍮のハンガー、ファサードやドアなど、この空間には多くのアイアンワークが

活躍しています。木と違って有機的な動きを出していくことが出来るアイアンは、

ある程度の全体のイメージや、やりたい方向性を作り手にお伝えし、あとはお任せする。

作り手の力量がわかっていれば、この部分は細かな口を出さない、それが一番。

鉄や真鍮の錆の度合いやタイミングもやはり鉄をあつかい慣れてるプロに委ねるのが

間違いないと思った。

鉄って、冷たいイメージだったけど、柔軟で色々な表情を見せてくれて、

木と同様にむしろ暖かく感じた。

 

 

 

 

 

 

 

○ モダン床の間の設え

空間.8

空間.6-2

 

空間.8-3

茶室の佇まいの侘びさび壁に「モダンな床の間の設え」を。

ハレとケ、静と動、煌びやかさと静けさ、

この空間はそんな対極なエレメントをぶつけながら構成。

侘びさび壁の「静」の表情とは相反した煌びやかな「動」の表現として、

キラキラとして真っ黒で白い斑がくっきりした、スペイン産大理石「ネロマルキーナ」

金沢の純金箔をエージングした建具、そして一本の桧の床柱を立てることで、

モダンな床の間と設えました。

そして本来、床の間に生ける花を、天井から吊り下げることで立体生け花と見立てています。

 

 

 

 

 

 

 

○ 様々な木の表情

空間.10

ウォールナット材亀甲彫りのカウンター

 

 

 

空間.10-2

古材ハンドヒューン仕上げのハンガードア

 

 

 

空間.10-3

バンブークラッシック フローリング

 

様々な木の表情が、空間に優しさと落ち着きを与えてくれます。

鉄の素材とも左官の質感とも調和してくれる「木」

空間を繋ぎとめてくれる、「かすがい」の様な役割を果たしながらも、

しっかりその存在感を表してくれています。

 

 

 

 

いかがですか?

前回から二度にわたって、ガラス・アイアン・木工・ペイント・工芸など

様々なアーティストの共演とセッションを紹介して参りました。

 

デザインや設計の仕事をしていると、ついつい、いつもやっているあんぱいな

パターンワークに陥りがちですが、

まだまだ新しい創作やアーティストとの関わりにより新しい発見があります。

発想は柔軟に、そしてそれを具現化するために製作過程に積極的に関わり、

デザイナーも作り手もひとつのチームとして、

ワクワクとしたモノ作りが出来たら、その熱や想いが必ずや空間に宿り、

命を吹き込むことが出来ると、確信しています。

 

空間作りの可能性、本当に楽しみですね!

 

 

 

大浦比呂志(ネイチャー・デコール主宰)

 

 

 

 

 

「空間の神はディテールに宿る・その1」

01.エージング・ペインティング01.アイアン08.アート&ディスプレイ00.現場02.ガラス001.大工の技20.『ミシュラン2スター・鮨の名店』

 

皆さん こんにちは

ネイチャー・デコールの大浦比呂志です。

 

この夏から手掛けてきたショップデザインもようやく完成し、

先日無事にオープンを迎える事が出来ました。

まだお店の詳細情報や全貌は、オフレコのためお見せすることは出来ませんが、

構成するエレメントについては許可が取れ、今回は現場や製作工房を通して、

完成に至ったアートワークスをご紹介します。

 

「神は細部に宿る」これは近代建築家ミース・ファンデル・ローエの有名な言葉ですが、

様々な要素が組み合わさったディテールをどう機能的且つ美しく見せるか、

考え抜かれたプロセスや手作業の工程に空間の神が宿る、そんな意味があります。

 

今回のお店では、ガラス・アイアン・木工・ペイント・工芸など様々なアーティストの

共演でありセッションで、そうした作り手の手から生まれたモノや表現が、

空間の中の細部に魂として宿っていく、

これはできあいの量産品や流れ作業の中からでは決して生まれる事はない、

オリジナルの手作業だからこそ。

 

そんな空間のエレメント、アートワークスの一部を

製作中の風景〜完成し納まってる様子お見せします。

 

今回は、二回に分けてご紹介していきますね。

 

 

 

○ オリジナルデザイン、製作のステンドグラス

空間.1

 

空間.1-2

空間.追加1

ステンドグラスのデザインの方向性を決めたあと、工房でのガラス選び、

ガラスも古い年代物から海外の珍しいガラス、色も様々の中から、

今回はいわゆる多色使いのステンドグラスではない、色数を1色「ブルー」に限定し、

その色の濃淡や加工方法、そして光を拡散するプリズムガラスをアクセントに使い、

全体的にはモダンでアーティスティックなデザインにしました。

どこか深海のイメージでもあります。

本来ステンドグラスは自然光の外の光を通して表情が生まれるものですが、

ここでは窓の無い店舗、ということを逆手に取りあえて自然光を遮断し、

バックライトの人工的な照明の色温度により、表情を作る、そんな演出をしています。

質感のあるシンプルな空間の中、一番のフォーカルポイントとしてその役割を担っています。

 

 

 

 

 

 

○ ウッドルーバーの造形

空間.2

空間.2-2

空間.追加2

変形のアール型のルーバーが重なり合うことで、波のうねりの様であり、

何かに包み込まれたような不思議な感覚、

ルーバー自体は12センチピッチで、その間にダウンライトや空調の吹き出し口を設けるなど

設計もさることながら、施工精度がかなり要求されるデザインになってしまいました。

アールの自然な繋がりや、ルーバーの間からもれる照明などで、

設計段階では読み切れなかった部分があり、

皆の経験とアイデアを使っての現場での調整作業が、楽しいものでした。

ルーバーの繋がり部分に、金箔を貼った三日月を付けよう〜!

なんていうのも、現場でのアドリブで生まれました。

 

 

 

 

 

 

○ 侘びさび壁・茶室の佇まい

空間.3

 

空間3-2

空間.追加4

経年美化された「侘びさび壁」を左官とエージングで表現、

食べのもをあつかうお店のため、そのエージング具合もやりすぎず、

どこか品の良さも出したい、、テーマは使い込まれた「茶室」の壁のような佇まい。

作業工程の途中、まったくアドリブで壁の中に「波紋」を入れよう!ということになる。

こういった計画外の事も、動きのある生きた現場だからこそで、

そんな対応にも嫌な顔一つしないで受け入れてくれた作り手に感謝です!

 

 

 

 

 

 

○ オリジナル真鍮屏風

空間.4

空間4-2

空間.追加3

W.2800×H.1350というかなり大型な作品です。

ここでは、「作品」という扱いではなく、ひとつの「素材」として空間に配置しています。

真鍮板を腐食させ、金箔を貼ったり色を差したり、アートの様なインスタレーションの様な。

これは、アトリエでの製作作業でした。

製作中はアトリエにも何度も足を運び、作業工程を確認しながら進めてきましたが、

納品直前に作り手の方から、まだ完成に納得いかないので、納期をのばして欲しい、、と。

腐食は日々変化していくので、

最も良い段階で腐食を止めるコーティングを行う為。らしいです。

空間の中でかなり場を張っていて存在感ありありですが、自然に調和しています。

 

 

 

LIVE感満載 アートワークスのセッション、次回は2回目をお知らせします。

 

 

 

大浦比呂志(ネイチャー・デコール主宰)

 

 

 

 

「30年ぶりに訪れた工房」

01.アイアン09.想うこと20.『ミシュラン2スター・鮨の名店』

 

 

皆さん こんにちは

ネイチャー・デコールの大浦比呂志です。

 

いま進めているショップの提案に向け、なんと30年ぶりに伺った、とある工房。

デザインの世界に入り独立前のまだ駆け出しの頃、

このアトリエに行けばなにかヒントがあるのではないかと、何時間もこの工房で

素材を手に取りながら、気さくな工房の主と時間を費やした。

そんな感じで、ここには今も昔もモノ作りに熱心な若者が後を絶たないらしく、

いまでは、主の孫よりも若い学生がなにかを学びに来るらしい。

そしてこの工房からは、誰でもがどこかで目にした事がある、トレンドショップの

オブジェや造作物、アイアンワークが誕生し世に送り出されている。

数々の著名なインテリアデザイナーのお抱えの工房でもある。

 

 

 

さい1-1

 

さい2

 

さい3

 

さい4

アトリエの入口も、2階への階段も、置いてあるもの一つ一つがなにか語りかけてくるよう。

40年も前にこの空間は自分で手作りし生み出したものらしい。

時間を掛け丁寧に作られたモノ達は有機的で動きのある唯一無二なかたち。

 

 

 

 

 

 

 

さい5

30年前に来た頃と一つも変わらないこの空間。

 

気さくでアーティスティックなご夫婦との打合せはとても楽しく、

色々な素材を手にしながら、工房をまわり打合せしていくうちに、

あっという間に4時間も経っている。。 このスローな流れが懐かしい〜

そして、打合せの中盤頃には大瓶のビールを開けながらのスタイルもその頃のまま。

いまはノンアルコールビールになってしまったが(笑)

 

工房の隣にダイニングがあり、2階のアトリエの脇には寝室がある、

まさにモノ作りとともに密着した生活。

 

 

 

 

 

さい7

この工房の主も、今年でもう73才とのこと。

 

主の言葉で、

「ものごとのブームは10年の周期でくるように感じてる。

はじめになにかに動かされ5年6年で落ち着きまた次の流れがくる、

それでもそれを続けていくと10年目にまた解釈を変えてそのブームが戻ってくる。

どうもその繰り返しのように思う。そうして自分の幹を少しずつ太くしていく。

商売的には大きな爆発はないけどね、、、笑 」

 

自分には、なんかとても身にしみる言葉であった。

こんな風に年を重ねられたら、なんて幸せなことか。

 

帰りしなに工房の奥さんから掛けられた言葉

「楽しんでますね〜」

、、、そんな事を言ってもらえることが、嬉しかったなー

 

 

30年ぶりのお手合わせがいまからとても楽しみになってきた。

 

 

 

大浦比呂志(ネイチャー・デコール主宰)