2018/9/27
/ 最終更新日 : 2018年9月27日
作業員
00.現場
00.現場09.想うこと20.『ミシュラン2スター・鮨の名店』
皆さん こんにちは
ネイチャー・デコールの大浦比呂志です。
11月初旬完成に向けて、久々にこだわり満載のお店をデザインしています。
なにがこだわり満載かというと、
はじめてやるトライアルな仕上げや納まりが随所にある、という点。
普段の進め方として、一般的にはいままで作ってきた事例やデザインを中心に、
オーナーさんからオーダーをいただき、この家のこんな素材や全体のデザインで、、
ということで、なかなか新しいことに挑戦することができないもの。
私たち作り手側も、そうした要望を明確にいただくことで、
失敗のない安定した仕上がり、というものも出来てきます。
一方でこれがルーチンになってしまうと、
モノ作り本来の、挑戦して新しいモノを生み出していく、というワクワク感からは
どんどん離れた仕事になっていきます。
ものの大小にかかわらず、ちょっとした素材の新しい試み、
今まで試したことのない、コーディネートや空間の構成、こうした何か一つでも
トライアルが許される仕事は、新しい可能性の扉を開く事が出来ます。
今回このお店の出来上がりをはじめて見た人は、
今までのネイチャー・デコールの仕事とはあきらかに異なるモノを感じるでしょう。
しかし、今までの経験の上にその延長線上にあることには変わりありません。
よくオーナーさんに、「無いモノは創りましょう」、そんなことを言いますが、
カタログやショールームなどであるものを見て決めていく、モノ作りではなく
オリジナリティを表現していく過程には、失敗を恐れないトライアンドエラーの
繰り返し以外に創作的なものは出来ないんだと思います。
そして、その過程の中で特に大切になっていくことは、
デザインをして、図面を描いて終わり、ではなく作っていく現場に積極的に入り込み
一緒にかたちにしていく、という作業。
デスクでのプランニングワークと現場仕事のバランスです。
○鉄の工房での場合
ファサードを錆びた鉄板の壁で仕上げ、ドアもそのまま一体で錆びた鉄板、
ドアだけは錆びた鉄板をパッチワークして表情を出してみたり、、
それに合わせて、取手はどんな大きさでどんなデザインにしようか?
デザインした初期プランとどんどん離れながらも、ブラッシュアップしていきます。
現物を手に取り、目にしてみると、そんなこともよくあります。
「どこでもドア」のようなエントランスの造作
重厚なドアに耐えられるように、丁盤も一から製作 これも錆びさせます
古鉄板をパッチワークさせる扉 まずは並べて感じを見ていく
この錆びをこれから綺麗に酸で洗ってから新しい錆を付けていく
鉄板の上に白チョークで取手のデザインを描きながら決めていく
○アトリエでの製作打合せ
今回は「金箔」の扉に挑戦、
純金箔(和箔)と洋箔では光の輝きがまるで違うことを知る、
そしてその金箔にエージングをいれていく、その兼ね合いをいくつものサンプルを
作ってもらって打合せ。
金箔=「和」の素材、という概念を取り払い、モダンな侘びさび空間を提案。
このお店には、こんな感じで沢山のオリジナル創作Worksがあります。
そしてその創作ごとに、何軒ものアトリエや工房、倉庫をまわって打合せを重ねてきました。
そもそも、自分にとってのもの作りの醍醐味ってなんだろう? 仕事ってなんだろう?
そんなことを考えると、まさにこのような製作過程との関わりが大きな部分であること。
まずは自分がワクワクすること、そしてそれが誰かの喜びや笑顔、役に立つこととなり、
その対価としてお金をいただける。
それが循環していければ、もうこれ以上でもこれ以下でもなく、それがベスト!
仕事だからと言って、自分がワクワク出来ないモノは、絶対に人には響きません!
これが自分のスタイルとしては一番健全でナチュラルな、仕事とお金との
関わり方ではないか、最近こんなことを痛感します。
こんな仕事のチャンスを与えてくれたオーナーさんに、なにより感謝です!
本当に楽しんで仕事させていただいてます!
サプライズショップの為、お店の名前等はまだ公表できませんが、
完成はこちらのブログでお知らせします。
お楽しみに!
大浦比呂志(ネイチャー・デコール主宰)