01.エージング・ペインティング

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「インダストリアルなディテールで」

01.エージング・ペインティング01.ドア01.アイアン04.ロフト&SOHOスタイル04.ブルックリンスタイル(ニューヨークスタイル)20.『ロフトスタイルの家・2019』

 

みなさん こんにちは

ネイチャー・デコールの大浦比呂志です。

 

先日引き渡した「ロフトスタイルの家・2019」

引き続き、アイアン廻りのエレメントについて紹介します。

この家は、家のテーマに沿って無機質な質感やアイアン

などの素材感でインダストリアルな表情で構成されています。

 

 


 


 

エントランスの門扉はオリジナルデザインの製作品。

スチールの丸パイプを主材にフラットバーと組み合わせています。

ディテールは口径をフラットバーの接合部分で太く切り替え、

横桟のフラットバーに貫通させています。

鍵部分もオリジナルで製作。

仕上げは、スチールの部材を亜鉛ドブ付け塗装で、

あえて無骨な表情に。

 

 

 

 


 


外の門扉まわりの照明やインターフォンプレートも、

黒で仕上げてある既製品を亜鉛風ペイントでエージング。

パナソニックの名前も自然に消しています。

ここは、門扉と合わせて、統一感をもたせています。

 

 

 

 


 


 


玄関の顔、本当に良い表情で出来上がりました。

玄関ドアも、門扉と同様でオリジナルデザインの製作品。

このドアはかなりの重量があったので、構造の柱脇に

鉄骨の柱をだかせて、そこから溶接で鉄筋を出しドアの枠を

溶接止めして躯体と一体化して強度をとりました。

大きな3枚の丁盤でドアを吊り

枠・ドア本体をスチールでセットで作り組み込んでます。

 

窓もないハードなリベットを打ち込んだいかにも倉庫の様な

無骨なドア、大きなノッカーが印象的です。

ドアハンドルもシンプルながら接合部分の裏と表で

ディテールを変えています。

ノッカーもハンドルもすべて製作品です。

 

 

 

 


室内のスイッチやコンセントも工場のように、

スチールの露出配管で納め、配管自体もエージング塗装で

亜鉛びきの様に素材感を出して仕上げています。

 

 

オリジナルデザインの製作品と合わせて、

既製品にひと手間加えてみたり、

ちょっとした気使いでディテールを納めていくことで、

空間にリアリティを生み出します。

 

 

大浦比呂志(ネイチャー・デコール主宰)

 

 

 

 

 

「空間の神はディテールに宿る・その1」

01.エージング・ペインティング01.アイアン08.アート&ディスプレイ00.現場02.ガラス001.大工の技20.『ミシュラン2スター・鮨の名店』

 

皆さん こんにちは

ネイチャー・デコールの大浦比呂志です。

 

この夏から手掛けてきたショップデザインもようやく完成し、

先日無事にオープンを迎える事が出来ました。

まだお店の詳細情報や全貌は、オフレコのためお見せすることは出来ませんが、

構成するエレメントについては許可が取れ、今回は現場や製作工房を通して、

完成に至ったアートワークスをご紹介します。

 

「神は細部に宿る」これは近代建築家ミース・ファンデル・ローエの有名な言葉ですが、

様々な要素が組み合わさったディテールをどう機能的且つ美しく見せるか、

考え抜かれたプロセスや手作業の工程に空間の神が宿る、そんな意味があります。

 

今回のお店では、ガラス・アイアン・木工・ペイント・工芸など様々なアーティストの

共演でありセッションで、そうした作り手の手から生まれたモノや表現が、

空間の中の細部に魂として宿っていく、

これはできあいの量産品や流れ作業の中からでは決して生まれる事はない、

オリジナルの手作業だからこそ。

 

そんな空間のエレメント、アートワークスの一部を

製作中の風景〜完成し納まってる様子お見せします。

 

今回は、二回に分けてご紹介していきますね。

 

 

 

○ オリジナルデザイン、製作のステンドグラス

空間.1

 

空間.1-2

空間.追加1

ステンドグラスのデザインの方向性を決めたあと、工房でのガラス選び、

ガラスも古い年代物から海外の珍しいガラス、色も様々の中から、

今回はいわゆる多色使いのステンドグラスではない、色数を1色「ブルー」に限定し、

その色の濃淡や加工方法、そして光を拡散するプリズムガラスをアクセントに使い、

全体的にはモダンでアーティスティックなデザインにしました。

どこか深海のイメージでもあります。

本来ステンドグラスは自然光の外の光を通して表情が生まれるものですが、

ここでは窓の無い店舗、ということを逆手に取りあえて自然光を遮断し、

バックライトの人工的な照明の色温度により、表情を作る、そんな演出をしています。

質感のあるシンプルな空間の中、一番のフォーカルポイントとしてその役割を担っています。

 

 

 

 

 

 

○ ウッドルーバーの造形

空間.2

空間.2-2

空間.追加2

変形のアール型のルーバーが重なり合うことで、波のうねりの様であり、

何かに包み込まれたような不思議な感覚、

ルーバー自体は12センチピッチで、その間にダウンライトや空調の吹き出し口を設けるなど

設計もさることながら、施工精度がかなり要求されるデザインになってしまいました。

アールの自然な繋がりや、ルーバーの間からもれる照明などで、

設計段階では読み切れなかった部分があり、

皆の経験とアイデアを使っての現場での調整作業が、楽しいものでした。

ルーバーの繋がり部分に、金箔を貼った三日月を付けよう〜!

なんていうのも、現場でのアドリブで生まれました。

 

 

 

 

 

 

○ 侘びさび壁・茶室の佇まい

空間.3

 

空間3-2

空間.追加4

経年美化された「侘びさび壁」を左官とエージングで表現、

食べのもをあつかうお店のため、そのエージング具合もやりすぎず、

どこか品の良さも出したい、、テーマは使い込まれた「茶室」の壁のような佇まい。

作業工程の途中、まったくアドリブで壁の中に「波紋」を入れよう!ということになる。

こういった計画外の事も、動きのある生きた現場だからこそで、

そんな対応にも嫌な顔一つしないで受け入れてくれた作り手に感謝です!

 

 

 

 

 

 

○ オリジナル真鍮屏風

空間.4

空間4-2

空間.追加3

W.2800×H.1350というかなり大型な作品です。

ここでは、「作品」という扱いではなく、ひとつの「素材」として空間に配置しています。

真鍮板を腐食させ、金箔を貼ったり色を差したり、アートの様なインスタレーションの様な。

これは、アトリエでの製作作業でした。

製作中はアトリエにも何度も足を運び、作業工程を確認しながら進めてきましたが、

納品直前に作り手の方から、まだ完成に納得いかないので、納期をのばして欲しい、、と。

腐食は日々変化していくので、

最も良い段階で腐食を止めるコーティングを行う為。らしいです。

空間の中でかなり場を張っていて存在感ありありですが、自然に調和しています。

 

 

 

LIVE感満載 アートワークスのセッション、次回は2回目をお知らせします。

 

 

 

大浦比呂志(ネイチャー・デコール主宰)

 

 

 

 

「シャビーな仕上げで、造作キャビネット」

01.エージング・ペインティング04.シャビーシックスタイル01.造作家具02.古材02.ブリック05.収納20.『四世代、一つ屋根の下』

 

 

「四世代、一つ屋根の下」の家で納めた、造作キャビネット。

 

巾4500㎜の大型サイズで、家の全体イメージに合わせて、シャビーな仕上げで製作。

 

大家族のこの家、

そのダイニングルームに設置し、オーディオ機器類や生活雑貨、プリンターや

扉ごとに場所を決めて、子供達の学校の宿題や勉強道具が仕舞えるなど、

ダイニング回りがモノで散乱しないようにと造り付けで用意したものです。

 

シャ.2

シャ.1

シャ.3

 

素材はオークの古材を使い、その上から素地を生かす感じに

エージング塗装を施し、シャビー感を演出。

 

背面のアクセントウォールも柔らかい印象と色味のブリックで仕上げました。

 

 

シャ.4

なかなか大きな材料は無くあばれや反りが生じるため、天板は一枚板では無く、

同じ素材とエージング塗装したものを接ぎ合わせています。

 

こういった一枚一枚の材料の並べ方ひとつで、仕上がりの見えがかりも

変わってきてしまうものです。

 

 

シャ.5

DVDなどリモコンの操作が必要な場所はガラスを使い、

扉を閉めたままでも、リモコン操作が出来るようにしています。

 

いちから計画する、造り付けの家具には、こうした機能性とデザイン性を

また、その場所にピッタリと合わせた寸法などを加味して、

その家に合ったものを作っていくことが可能です。

 

 

 

 

 

 

「エージングWORKS」

01.エージング・ペインティング01.造作家具

「エージングペイント」

 

 

ネイチャー・デコールの家では、よく行われるペイント。
時間が経過した使い込んだ感を、いかに
自然に見えるように仕上げていくかがポイント。
建築の一般塗装とはまた違う特殊技能で、どちらかというと陰影を表現する絵の様な、絵心やセンスが要求される仕事です。
そういった専門職種の手作業を家作りの現場に参加してもらいながら、オリジナルなモノ作りをしていきます。
エージングWORKSといっても、幅広い表現がありますが、今回は今 進めている現場で仕上げている、「白のエージング」の表現について。
実際に建具の部分サンプルを作ってもらった、エージングの見本。
全体はマットなホワイトペイントで、
コーナーに汚れを重ねて陰影を出しています。
この陰影の強弱で印象が変わってきます。
これは、光沢を出したペンキを塗り重ねてコッテリとしたペンキの肉厚感を出したもの。
コーナー部分は使い込んで、ペイントが剥がれた感じで、下に塗った色が見えているイメージ。
塗り重ねた表情はあえて、刷毛跡を残すようにラフに見せ、
自分で何回もリペアしてきた感じを出してます。
天井に回る面材でエージングサンプルを作ったもの。
光沢を出したものと、マットな艶消しの
もので表情を比べてみました。
表情のある古材の上から、エージングしたもの。
新しい木では出せない古材の持ち味を、
さらにエージングでペイントをする事で、引き立てています。
ペイントよりも木の素地を生かし、
かすれた様に、木に残った白がシャビーな感じを出していきます。
ここに紹介したのは、白で表現したエージングのごく一部ですが、
白を使ったものだけでも、まだまだ色々な仕上げ方、魅せ方があります。
「エージングペイント 」
それは、単なる仕上げでは無く、
時間の経過と共に、
ストーリーが生み出される、
そんな技法でもあります。

「ワンアンドオンリー 熱を感じる家」

01.エージング・ペインティング09.NDオーナーのライフスタイル20.『よくばり趣味空間』の家03.こだわりのキッチン05.ガレージ09.想うこと

 

 

先日、平成26年に竣工したオーナーさん宅へお呼ばれして遊びに行ってきました。

同じくネイチャー・デコールの家の古きオーナーの「Mさん」、
彼は平成10年に竣工した 初期の頃のオーナーさんですが、
縁があり、三人でたまにご一緒させていただく 事もあって、
一緒に新しいネイチャー・デコールのお宅訪問をさせていただくこととなりました。

こういうかたちで、オーナーさん同士と繋がれるって、本当に幸せなことです。
それも、新旧平成10年竣工のオーナーさんと、平成26年のオーナーさんとなると、
なんと、16年もの間があるわけです。

家にもデザインの流行や住宅性能自体も日進月歩で進化し続けるのでしょうが、

それ以上に、
自分の家を自分のものとして、どう自分らしく住みこなしているか?
というのは、ネイチャー・デコール的にはとても大切な事ですね。

平成10年にネイチャー・デコールのドアを叩いていただいた、「Mさん」。
今思えば、その頃はまだ今の様なネット環境も無く、
もっと閉ざされた情報の中で、私を見つけ出してくれ、
そしてまだまだ実績も少ない頃の自分に、その可能性を賭けてくれた。

そんな時期のオーナーさんは、やはり意識として自らが一緒に家を創り上げていくという姿勢、人の評価とかデータに頼らない自分の価値基準。
そして自分の言葉や判断にも責任を持つ、という熱い思いを持った人が多いですね。それはその家での暮らしぶりにも濃厚に反映されているものです。自分の「好き」が明確で、その家は家主を写し出す鏡の様でもあります。
18年前に竣工した「Mさん邸」を少し覗いてみましょう。
車が趣味で、ガレージには大好きな車が、いつもメンテナンス出来るように、
所狭しと、ギヤがいっぱいです。
そして、車にまつわるモノやミニカーも
室内のちょっとしたコーナーにディスプレイされてました。
デザインの仕事をしているオーナーは、
決めた壁一面に自分の作品や好きな写真をギャラリーの様に飾り付け、
楽しんでいます。
今では一般住宅に業務用のガス調理器具を入れることが出来なくなりましたが、
自らがキッチンにも立つ料理好きのオーナーは、当時プロ仕様のガスストーブを真っ先にセレクトしました。
ワイン好きで、ワインセラーを導入し
アンティークのカップボードには、
お気に入りのグラスが綺麗にディスプレイされています。
海外で出会った小物達を、左官で造作したニッチに、、
そしてその頃オーナーのマイブームが、旅行先で体験したアジアンリゾート。
そんなインテリアをプライベートの寝室に再現しました。
家の顔となる玄関のドアの取っ手は、
オーナー自らがデザインしたものを、
アイアン業者にオーダーして作りました。
その様なオーナーの「熱い」数々の要望を聞きながら、
私も自らが現場に没頭したものです。
左官屋さんにはなかなか伝わらなかった
このモヤモヤとした表情の壁は、
自ら現場作業に参加して、陣頭指揮を取りながら、再現したものです。
ダイニングの床には、実際アメリカの
体育館で使われていた硬い木のフローリング。ところどころに、ラインの跡が残っていたりと、この家だけの一点ものです。これは知人にお願いしこの家のために、個人輸入したものです。


天井のエージング塗装。
今でこそ「エージング」というものを住宅に取り入れるのも、増えてきましたが、この頃は「なぜ、新しいものをわざわざ汚して、、」そんな時代でした。
「古材」を取り入れる、というのもまだまだ新しい、そんな頃の話です。
オーナーさんとのセッションで出来上がった家は、当然愛に溢れた、愛着あるものであり、他のものとは全く違う、
「ワンアンドオンリー」、一点ものです。
人は誰しも、経験を重ねれば重ねるほど、失敗は少なくなり、自分の中の多くの情報を持って間違いの少ないものが出来る様になります。
ただ一方で、思考を重ねていく不安や迷い、それを克服した時の達成感。そういったものも、だんだんと忘れてしまうもので、時に多少いびつでも、迷いながら生まれてきたものが、魅力的に写ってみたりするものです。
そんな事を、今から18年前の家を見ながら、感じてしまいました。
新旧 ネイチャー・デコールのオーナーさんと、、
あー また、いつもの様に、
すっかりいい気分で出来上がってしまいました。。(汗)
おっと! 26年竣工の「Tさんの家」については、次回ふれさせていただきます。