「図面の中に表現しきれないモノって、、」
02.古材01.アイアン04.ロフト&SOHOスタイル02.左官02.タイル02.ブリック11.ネイチャー・デコール02.石20.『TOKYO LOFT STYLE』の家09.想うこと
家作りにおいても、ものを事前に目で見て納得して買う、、
それは、カタログだったり出来ているモノが展示されているショールーム
だったり、、それが多分世の中の一般的な家の売り方でもあり、しっかりした
モデルルームを持った、ハウスメーカーなどのやり方です。
ところが、ネイチャー・デコールの家には、図面の中の線や仕上げ表で
表現出来ないモノがとても多いのです。
実際のモノが、現物として事前に目にすることが出来ない、、
新規のお客さんにネイチャー・デコールの家の特徴を話すときのひとつに、
そんなことをよく口にしますが、それでは実際にそれってどういうモノなの?
という部分について、過去の事例から具体例をご紹介します。
図面の中で表現でないもの、光や影・空気感・など感覚的なものも含め
いくつかありますが、
その中でも、今回はネイチャー・デコールの家で最も特徴的な
「素材・マテリアル」についての話しをしていきます。
「素材」もカットサンプルや色見本で部位としての確認はして頂く事は
出来るのですが、それが空間の中に立ち上がってきて、
他の素材とどのように影響し合っていくかは、もはやイメージスケッチを
見ながら、頭の中で想像してもらう、という部分が必要になってきます。
今回の事例は、2011年完成の「TOKYO LOFT STYLE」の家。
僕の中での自信作の一邸です。
1.木の表現
古材を使ったヘリンボーンの床
カットサンプルを並べて事前に確認してもらいますが、
古材の配置や色の濃淡、木目の感じや表面のプレーナーの処理で
表情はかなり変わってきます。
2.左官のテクスチャー
一番上は、室内の珪藻土のテクスチャー
真ん中は、外部左官のテクスチャー
一番下は、フランス漆喰アバナ
これらの素材は、A4サイズの仕上げサンプルで事前に確認頂き、
実際に現場で仕上げる時に再度立ち合いの上、テクスチャーを最終決定
していきます。
A4サイズのサンプル見本からこの左官のボリュームをイメージするのは、
やはり一般のお客さんには難しい様です。
3.石やタイルのバランス
どれも、ネイチャー・デコールの家ではおなじみの石やタイル、ブリック
ここでポイントになってくるのは、素材ひとつひとつに表情があるので、
それを大きな面に施工した場合の配置や色バランスです。
同じような色やかたちを近づけ過ぎないで適度にばらしていく。
目地の巾や色、そして目地の深さなどでも仕上がりの印象が変わります。
4.スチールの表情
鉄の素地の「黒皮」の状態をどのように自然に見せていくか。
塗装の仕上げで色付けをしない鉄本来の「黒皮」の状態はとても良いもので
自然素材の家にも馴染みます。
ただ、素地がそのまま現しになると、鉄の黒い汚れやいずれ錆びてしまう、
そこで、使う場所場所で鉄の素地感を生かした、仕上げ方を変えていきます。
特に真ん中の写真の様なキッチンカウンターの上などは、光沢の出ない
ウレタンでコーティングしていくなど、気を使う場所です。
このような場所では、ウレタンを施してもいずれ色も落ちてきたりどんどん
変化をしますが、それも楽しめる包容力も必要ですね。
一番下の写真は外部で使用した場合。正直、鉄の素地感というのもからは
かけ離れてしまいましたが、ここはやはり外部なので錆びや耐久性を優先しての
選択で、全体的にはハンマートーンの塗装を施しました。
5.個々の素材を組み合わせていくと、、、
それらのひとつひとつの部位を組み合わせていき、
このような空間が生まれていきます。
こうして見てもらうと、ネイチャー・デコールの家はひとつひとつの
素材の持ち味や特徴を吟味し、それを全体に組み合わせたときの
バランスを俯瞰でイメージしながら、積み上げていく。
そんな家の創り方になってきます。
確かに「家」とはとても高価なものです。
そんな高価なものなのに、モノを見て納得して決められない、、、
そこは勿論わかりますが、大切なのはモノ単体ではなく、
個の素材がオーナーの求める全体感にマッチした空間であり、
コーディネートのバランスとセンスです。
家創りのコンセプトを明確化し、
個対応でオーナーの求める独自の世界観を具現化していくためには、
カタログやモデルルームではわからないもの、見えてこないものが、
実は一番必要なのではないでしょうか。