「空間の神はディテールに宿る・その2」
02.古材01.アイアン08.アート&ディスプレイ00.現場02.ガラス001.大工の技02.床材・その他20.『ミシュラン2スター・鮨の名店』
皆さん こんにちは
ネイチャー・デコールの大浦比呂志です。
「空間の神はディテールに宿る・その2」として、
この夏から手掛けてきたショップデザインの中のエレメント集。
先日に引き続き、
空間の中の細部に魂として宿っていく、作り手の手から生まれたモノや表現。
そんな空間のエレメント、アートワークスの一部を
製作中の風景〜完成し納まっている様子お見せします。
○ 古材のランダムパッチワーク&レジンフィニッシュのカウンター
長さも巾も厚みも違う荒削りな古材、
色味や傷具合の表情も違うものを、感覚的にバランスを見ながら並べていき、
ベースとなる古材のパッチワークを決めていきます、どこをとっても人任せには出来ない所。
それだけでも充分なオリジナル感はあるのですが、今回はその上から「レジン」(合成樹脂)
で仕上げるという手法。ベースの古材に段差があるので厚い部分では10㎜近く肉厚にレジンを
乗せていく。レジンを通して古材を見ていくような独特な仕上げ感と質感。
このレジンの作業は工場で何工程にもおよぶ肉付けを行い、
更に磨きあげ、最終フィニッシュは現場に納品後、ジョイント部分や磨き出しを行うという
相当な手間の掛かるもの。
完全に硬化するまでは時間を要するので、非常にデリケートな仕上げではあるが、
出来上がりは唯一無二のものであり、今後色々な可能性を感じる素材である。
○ オリジナルアイアンワークのモノ達
手すりや真鍮のハンガー、ファサードやドアなど、この空間には多くのアイアンワークが
活躍しています。木と違って有機的な動きを出していくことが出来るアイアンは、
ある程度の全体のイメージや、やりたい方向性を作り手にお伝えし、あとはお任せする。
作り手の力量がわかっていれば、この部分は細かな口を出さない、それが一番。
鉄や真鍮の錆の度合いやタイミングもやはり鉄をあつかい慣れてるプロに委ねるのが
間違いないと思った。
鉄って、冷たいイメージだったけど、柔軟で色々な表情を見せてくれて、
木と同様にむしろ暖かく感じた。
○ モダン床の間の設え
茶室の佇まいの侘びさび壁に「モダンな床の間の設え」を。
ハレとケ、静と動、煌びやかさと静けさ、
この空間はそんな対極なエレメントをぶつけながら構成。
侘びさび壁の「静」の表情とは相反した煌びやかな「動」の表現として、
キラキラとして真っ黒で白い斑がくっきりした、スペイン産大理石「ネロマルキーナ」
金沢の純金箔をエージングした建具、そして一本の桧の床柱を立てることで、
モダンな床の間と設えました。
そして本来、床の間に生ける花を、天井から吊り下げることで立体生け花と見立てています。
○ 様々な木の表情
ウォールナット材亀甲彫りのカウンター
古材ハンドヒューン仕上げのハンガードア
バンブークラッシック フローリング
様々な木の表情が、空間に優しさと落ち着きを与えてくれます。
鉄の素材とも左官の質感とも調和してくれる「木」
空間を繋ぎとめてくれる、「かすがい」の様な役割を果たしながらも、
しっかりその存在感を表してくれています。
いかがですか?
前回から二度にわたって、ガラス・アイアン・木工・ペイント・工芸など
様々なアーティストの共演とセッションを紹介して参りました。
デザインや設計の仕事をしていると、ついつい、いつもやっているあんぱいな
パターンワークに陥りがちですが、
まだまだ新しい創作やアーティストとの関わりにより新しい発見があります。
発想は柔軟に、そしてそれを具現化するために製作過程に積極的に関わり、
デザイナーも作り手もひとつのチームとして、
ワクワクとしたモノ作りが出来たら、その熱や想いが必ずや空間に宿り、
命を吹き込むことが出来ると、確信しています。
空間作りの可能性、本当に楽しみですね!
大浦比呂志(ネイチャー・デコール主宰)