「若干27歳でデザインしたCLUB 我ながらイケてるぜ!」
私の空間デザインのスタートは様々なショップデザインからはじまりました。
若干27歳の頃にデザインしたCLUB
こんな店で遊びたい! こんな店に彼女を連れて行きたい!
そんな思いのまま、その時期一番自分が行きたい店をデザインしたのがこのCLUB。
今、見てもその頃の熱いパワーが伝わってきそうなこのお店。
我ながらイケてるぜ! …と自画自賛からはじまりました。
なんと今から27年前の古ーい話ですね。
バブルの時代感も満載です。
このお店は、当時雑誌POPEYE 年間クラブオブイヤーの第三位に選ばれた
人気のCLUBでした。
お店のコンセプトは、「女の子を口説けるお店」
今思うとなんかバカバカしいが、当時の必死さも伝わってきます。(笑)
そのお店の写真を振り返り、今の住宅デザインにもつながるエッセンスを
解説していきます。
雑居ビルの地下2階にあったこのお店。
エレベーターを下りるとあえて天井を低めに設定したレンガのアプローチ。
上からの照明を抑えて、床からのアッパーライトで浮かび上がらせ、
不安な暗く長いアプローチを歩くと、スチールの重いドアがあります。
そこがこのお店の入口。
期待感と不安感を演出したこのアプローチ、
彼女の手を引いて入っていくわけです。
そしてこの重いドアを開けると、いきなり下から強烈な光にあおられ、
一瞬その光の強さに驚いてしまう…という仕掛けを用意しました。
もうすでに、ワクワク感満載ですね。
お店に入るとこんな全景です。
使われなくなった廃墟の様な古い倉庫を、改装して出来上がったイメージ。
壁にはその時代の古いレンガ、そして何故か朽ち果てたギリシャ様式の柱、
壊れた壁のレンガからは中世のフレスコ画が…
天井からはゴージャスで巨大なシャンデリアが2灯。
当時、こんなシャンデリア見つけるのが大変だった~
スチール黒皮サンダー仕上げの長いアールのBARカウンター
床はモルタル仕上げ
古いモノと新しいモノを融合させながら、オリジナルの製作品を加えていくのは
この頃からの自分のデザイン手法のひとつでした。
このスケルトン天井からの布使いがなんか時代っぽくて古い感じがしますが。。(汗)
このカウンターでは当時、色々なドラマが展開されたな!
錆び鉄板にお店のロゴをくり抜き、そこにテクスチャーが浮かび上がるように
狭角のスポットライトのラインを付けてます。
ブルーのグラスケースの光がまた色っぽい。
この壁も、なかなか廃墟感でてないですか?
もともとあった壁を壊したら、そこからなんと中世のフレスコ画が…なんて
いったい当時はなにを考えていたんでしょう。(笑)
このお店のコンセプト「女の子を口説けるお店」というように
インテリアデザインにからめて色々な仕掛けを落とし込みました。
また、オペーレーションの形態も提案しました。
具体的には、
1.歩く人と目線が会うように入口付近の席は全てハイテーブル&ハイチェアー
客席にも段差を付けて歩く人とテーブルの人とが目を合わせられるようにすること。
2.コップをもってどこの席にも移動出来る様に、テーブル会計ではなく
キャッシュオンデリバリーであること。
声を掛けやすいシチュエーションをつくりました。
3.あえて照度を変えて、親密に話せる暗闇と明るいところをつくり、
話の展開で場所を移動出来る。
4.入口付近にVIP席のような重厚なソファセットを置いて、そこにはいつも優先的に
綺麗な女性を…. 男性客はそれを目当てにまた来てしまいたくなります。
VIP席は奥でコソコソと、という当時のディスコのお決まりを壊しました。
5.DJブースを設け、彼女の好きな曲をいつでもリクエスト出来る、
当時はレコード盤に針を落としてました。
等々、様々な仕掛けと仕込みを、デザインにマッチングさせていきました。
多分、こんなアプローチから住宅をデザインしていく…なんて
自分くらいなものなんだろうな~ 異端といえば異端です。(笑)
ワクワクとした期待感、サプライズ、ストーリー性のある空間、
段差によるエリア分け、明るいところと暗いところ、
古いモノと新しいモノ、オリジナルな創作品、
これらは、今も住空間デザインに生きている共通したエッセンスです。
そして、「感じるデザイン!」 Dont think FEEL!
これは、かたちから創り上げるものではなく、人の内面の心理的なものから
創り上げるデザインということで、今に繋がるコンセプトになっているようです。