「空間の神はディテールに宿る・その1」
皆さん こんにちは
ネイチャー・デコールの大浦比呂志です。
この夏から手掛けてきたショップデザインもようやく完成し、
先日無事にオープンを迎える事が出来ました。
まだお店の詳細情報や全貌は、オフレコのためお見せすることは出来ませんが、
構成するエレメントについては許可が取れ、今回は現場や製作工房を通して、
完成に至ったアートワークスをご紹介します。
「神は細部に宿る」これは近代建築家ミース・ファンデル・ローエの有名な言葉ですが、
様々な要素が組み合わさったディテールをどう機能的且つ美しく見せるか、
考え抜かれたプロセスや手作業の工程に空間の神が宿る、そんな意味があります。
今回のお店では、ガラス・アイアン・木工・ペイント・工芸など様々なアーティストの
共演でありセッションで、そうした作り手の手から生まれたモノや表現が、
空間の中の細部に魂として宿っていく、
これはできあいの量産品や流れ作業の中からでは決して生まれる事はない、
オリジナルの手作業だからこそ。
そんな空間のエレメント、アートワークスの一部を
製作中の風景〜完成し納まってる様子お見せします。
今回は、二回に分けてご紹介していきますね。
○ オリジナルデザイン、製作のステンドグラス
ステンドグラスのデザインの方向性を決めたあと、工房でのガラス選び、
ガラスも古い年代物から海外の珍しいガラス、色も様々の中から、
今回はいわゆる多色使いのステンドグラスではない、色数を1色「ブルー」に限定し、
その色の濃淡や加工方法、そして光を拡散するプリズムガラスをアクセントに使い、
全体的にはモダンでアーティスティックなデザインにしました。
どこか深海のイメージでもあります。
本来ステンドグラスは自然光の外の光を通して表情が生まれるものですが、
ここでは窓の無い店舗、ということを逆手に取りあえて自然光を遮断し、
バックライトの人工的な照明の色温度により、表情を作る、そんな演出をしています。
質感のあるシンプルな空間の中、一番のフォーカルポイントとしてその役割を担っています。
○ ウッドルーバーの造形
変形のアール型のルーバーが重なり合うことで、波のうねりの様であり、
何かに包み込まれたような不思議な感覚、
ルーバー自体は12センチピッチで、その間にダウンライトや空調の吹き出し口を設けるなど
設計もさることながら、施工精度がかなり要求されるデザインになってしまいました。
アールの自然な繋がりや、ルーバーの間からもれる照明などで、
設計段階では読み切れなかった部分があり、
皆の経験とアイデアを使っての現場での調整作業が、楽しいものでした。
ルーバーの繋がり部分に、金箔を貼った三日月を付けよう〜!
なんていうのも、現場でのアドリブで生まれました。
○ 侘びさび壁・茶室の佇まい
経年美化された「侘びさび壁」を左官とエージングで表現、
食べのもをあつかうお店のため、そのエージング具合もやりすぎず、
どこか品の良さも出したい、、テーマは使い込まれた「茶室」の壁のような佇まい。
作業工程の途中、まったくアドリブで壁の中に「波紋」を入れよう!ということになる。
こういった計画外の事も、動きのある生きた現場だからこそで、
そんな対応にも嫌な顔一つしないで受け入れてくれた作り手に感謝です!
○ オリジナル真鍮屏風
W.2800×H.1350というかなり大型な作品です。
ここでは、「作品」という扱いではなく、ひとつの「素材」として空間に配置しています。
真鍮板を腐食させ、金箔を貼ったり色を差したり、アートの様なインスタレーションの様な。
これは、アトリエでの製作作業でした。
製作中はアトリエにも何度も足を運び、作業工程を確認しながら進めてきましたが、
納品直前に作り手の方から、まだ完成に納得いかないので、納期をのばして欲しい、、と。
腐食は日々変化していくので、
最も良い段階で腐食を止めるコーティングを行う為。らしいです。
空間の中でかなり場を張っていて存在感ありありですが、自然に調和しています。
LIVE感満載 アートワークスのセッション、次回は2回目をお知らせします。
大浦比呂志(ネイチャー・デコール主宰)