「ネイチャー・デコール・住宅性能基準 気密断熱工事」
みなさん こんにちは
ネイチャー・デコールの大浦比呂志です。
ネイチャー・デコール・住宅性能基準の気密断熱工事について、先日もお話したとおり、今後は「ND標準仕様」と「ND標準・S仕様」とお客様の予算に合わせた2つの断熱性能のグレードを用意しました。
●気密断熱について
どちらの仕様においても、断熱等級計算を行い、断熱等級4以上のZEHクラスまたはGクラスを標準にしていきます。
・床・壁・天井:気密防湿フィルム貼り
・気密性能測定は「気密断熱工事完了時」と「工事完成時」の2回行い、気密性能の確保を標準として行います。
・「ND標準仕様」と「ND標準・S仕様」によりサッシ断熱性能のグレードを選定
・ガラス:Low-E複層ガラス 日射取得型または日射遮蔽型は配置計画により選定
・第一種換気設備としてダクトレス熱交換型換気システムの導入
以上が、気密断熱について、行うべき内容です。
今回は家創りの現場から、2020年4月から社内改定されたネイチャー・デコールの住宅性能基準の「気密断熱工事」について現在葉山で進行中の「プリンスがでてきそうな家!」の現場を例に、主だった部位の施工注意点を説明していきたいと思います。
◯ 床・天井の取り合い
床と壁、壁と天井が取り合う箇所では、床及び天井の下地材と壁下地材の取り合いに隙間が出来るため、床及び天井と壁の気密シートを互いに重ねられるように余長を確保し、重ね端部は気密テープでしっかりと目止めすることが大切です。
◯ 窓の開口部
窓で気密断熱を確保しようとする場合は、窓の気密断熱性に加えて、窓サッシの構造上、壁面に取り付け用の隙間が出来るため、この隙間への断熱材の充填と気密処理をすることが大切です。
◯ スイッチ・コンセントボックス
外壁で気密断熱を確保しようとする場合は、スイッチやコンセントの取り付けボックス周りに隙間ができるため、気密カバーで気密処理をしてこの裏側へも断熱材の充填をすることが大切です。
◯ 天井ダウンライト
天井で気密断熱を確保しようとする場合は、照明器具本体が断熱対応器具であることに加えて、気密対応器具でなくても気密が確保できるように、スイッチやコンセントと同様、気密カバーや現場製作の気密ボックスを設け、これの裏へも断熱材の充填をすることが大切です。
◯ ダクト・配管・配線の取り合い
ダクト、配管、配線を床及び天井や外壁を貫通させる箇所では、予め下地材に開けた穴と、ダクト、配管、配線の周りに隙間が出来るため、この隙間への断熱材の充填と気密処理をすることが大切です。
◯ ユニットバス
床で気密断熱を確保しようとする場合は、ユニットバスの構造上、床面に取り付け用の隙間ができるため、床下での気密断熱が必要となり、底版及び立ち上がりへの断熱と、土台との取り合いでの気密処理が大切です。
◯ 玄関土間
床で気密断熱を確保しようとする場合は、玄関土間には床がないことから、基礎の底版と立ち上がり部分での気密断熱が必要となり、底版及び立ち上がりへの断熱と、土台との取り合いでの気密処理が大切です。
◯ 引き金物部分
土台桁梁に取り付ける引き金物は、取り付け箇所によっては、金物が断熱材を貫通していることで外気からの熱橋(ヒートブリッジ)となるため、断熱材に包まれる箇所以外は、熱橋対策をすることが望ましいです。
◯ ホールダウン金物
ホールダウン金物は、床で気密断熱を確保しようとする場合は、外気に触れる基礎コンクリートに埋め込まれていることから熱橋(ヒートブリッジ)となるため、断熱材に包まれる箇所以外は、熱橋対策をすることが望ましいです。
「気密断熱」には壁内結露防止のための「防湿」も必須です。
主流の気密断熱工法では、気密を気密シートで確保するものであるため、この気密シートの透湿抵抗性能を利用して防湿を兼ねています。
一方、断熱材の厚さや仕上材下地材の透湿抵抗値を検討することで、気密シートを使用しない場合でも壁内結露の防止ができる方法もあり、この場合は、合板や石膏ボード等の面材を使用し、これらの目地部分に気密テープを貼ることで気密を確保します。
以上、各部位ごとの施工上の注意点を抜粋してポイントだけお話してきました。
よく一般のお客さんから、断熱材は一体なのが良いの?という質問をうけますが、正直コレには答えがありません。断熱材にもグレード(費用)の幅がありますので、予算に応じた費用対効果という点もありますが、材料の選定とともに施工精度という部分がもっともその良し悪しに影響を及ぼしてきます。どんな断熱材を使う場合でも、基本に則った丁寧な施工、そこに時間と手間を掛けることがなにより大切です。
大浦比呂志(ネイチャー・デコール主宰)