三度目の家物語
神奈川県の平塚市、平屋で約75坪の家。70代のオーナーさんの家、というのもはじめての経験かもしれない。また、誰もが知っている著名な建築家に依頼した二軒目の家に満足いかず、今度こそ本当に「終の住処」となる家を建てたい!そんなスタートではじまったこの三軒目の家創り、色々な高いハードルを越えながら、この家もまたいつもとひと味違う特別な思いがある家となりました。二軒目の家が、作品性の高い美術館のように無機質な建築物。この三軒目の家は、「血の通った家にしたい!」と、その作品住宅を最初に見たとき、自分の家創りに対するテーマが決まりました。そして、住み始めてしばらく経ってこの家に訪れたとき「以前の家とは対極の家だよ!うちのかみさんがとにかく気に入ってる」とオーナーから温かいお言葉をいただき、ようやく肩の荷が下りた、、正直、そんな思いでした。
自宅の在り方については自分の仕事や家族構成、交友関係、近所の環境などいろいろなことを考えて家の姿を考えます。高齢になってからの家なので平屋であること、寝室周りに浴室、ランドリー、洗面、クローゼットなど身の回り機能を集中させること、寒さ対策がしっかりしていること、様々な物の収納量があること、2台の収納ガレージがあること、くらいが希望で設計依頼した記憶があります。現代風の家屋は欲しくなかったので古材を使うことや以前住んでいた家屋の部材を新築家屋に活かして使用してくれる、というネイチャーさんのやり方はとても気に入りました。
このような発注方法がとれたのは今の自分の状況だからできたのだ、と改めて感謝の気持ちを抱きました。
◉完成したときの感想
新築感の無さがとても良かった。つまり借りてきたネコ、のような状態でなく家に対して親しみやすく自然な感じで入居したような気がします。
◉施工を担当された工務店さんと設計方のコンビネーションがとても良い印象がありました。
家は完成して引き渡されたらそれでおしまい、というのは最も避けたい関係性です。住み馴れてゆく過程で様々な修正を加えてゆくことで「住まい勝手」が生まれてくるはず。施主⇨設計方⇨施工者の間にそのような関係が不自然さなく醸されたらそれは成功、といえるのではないか?と思いますがその点についても大変満足しています。