ジュエリーデザイナーの家
東京、江戸川区での職住併用住宅のリノベーション事例です。今回のもっとも特徴的な事は、オーナーさんが積極的にデザイン段階から参加し、現場においても「建材」「家具」「扉」「アンティーク品」「取手金物」「照明器具」とそれら空間を構成するアイテム全てを自らでセレクトし手配して完成させたこと。オーナーのこだわり、こうしたい!を限りなく優先させ細かなヒヤリングを繰り返し、そのやりたい世界観を具現化させていくためのサポート役に徹して創り上げた家と言えるでしょう。ジュエリーデザイナーとして活躍するオーナーは、今後この自分色に染めた空間で、ここをサロンのように活用しながら、自分で作るジュエリーを紹介していくようです。製作工房とサロン、それに居住空間が複合したオーナーのステージが完成しました。
でもそれは、もしかしたら私から言うまでもなく、過去に手掛けた建物を見てもらえれば、一目瞭然の事かもしれません。サンタフェあり、シャビーシックあり、アジアンありと、とにかく色々なスタイルがある。それは施主が何を求めているのかに向き合っている証拠かと。そしてその色々なスタイルのすべてに一つの統一感があり、その統一感こそが
「デザイナー大浦比呂志」なのだと感じます。
建築家にありがちな「どこの家のスタイルも同じです。私が考えたんですから。私の建てる物が好きな人だけ施主になって下さい」的なものとは全く違う考え方。
私の場合、ジュエリーのデザイナーであり、美術関係全般大好き、また過去に某有名アンティークショップに勤めていた程のアンティーク好き。尚且、私の本棚は本業のジュエリー本より、インテリア本の方が多く並んでいる。そんな「デザイナー関美奈子」が「デザイナー大浦比呂志」と一緒に空間のデザインを考えているのだから、当然バトルが勃発しない訳がない。
私は自分らしい空間、大げさに言ってしまえば自分の作品、「デザイナー関美奈子」の作品が作りたかったのではないかと、そしてそのサポートを「デザイナー大浦比呂志」にしてほしかったのではないかと後になって振り返り思いました。
施主が手を入れた赤ペンチェックだらけの図面、施主自ら描いたデザイン画、図面までも描いた。
人から見たら施主一人でデザインを考えても作っても良かったんじゃない?と感じるかもしれません。でもそれは違います。
以前ある不動産サイト内で、一枚の素敵な建物の写真が目に飛び込んできました。それは黒い教会のような建物で正面には大きくて重厚な恰好いいアンティークのドア。
私はこんな素敵な建物をどんなところが手掛け建てたのかと思っていました。
その後色々とネットでリフォーム業者を探しているうちに、その建物はネイチャー・デコールさんが手掛けたものだと知りました。探し当てたとでも言うのでしょうか、探しに探して見つけた事務所です。
それなのでバトルと言っても決して否定しているのではなく、むしろバトルの相手を選んだとでもいうのでしょうか。こんなバトルにつき合わされた大浦さんはたまったものではなかった事でしょう。でも私にとってはこのバトルこそが有意義なもので、だからこそ本当に納得出来る物ができたのだと思っています。このバトルはすごく苦しくもあり、最大限楽しくもありました。
こんな経験は多分ここまで向き合ってくれる事務所でなければ出来なかったものだと確信しています。大浦さんを探し出し、そして出会えて本当に良かった。
最後まで投げ出さずバトルってくれた事、心より感謝申し上げます。そしてこんな大変な仕事もあったなあと、たまには思い出して下さいね「デザイナー大浦比呂志」様。