行列の出来るレディースクリニック
ネイチャー・デコールと設計した家に住み、そしてネイチャー・デコールで設計したレディースクリニックと、職住に渡ってかかわらせていただきました。時間がゆっくりと融け込んだような空間、まるでフランス郊外のプチホテルの様なクリニックで、新しい生命を授かる。「生活も診察も五感を優先することが大切」というオーナーの世界観を見事に具現化しました。調度品を求めフランスの現地まで出向き、アートワークス、グラフィックデザイン、ガーデンデザイン、とトータルにデレクションした、ネイチャー・デコールワークスの傑作です。
「これまでに無いような価値ある病院を絶対に作る、という使命感が凄くありました」
今からもう6~7年前、そもそもは病院を新しく建て直したくて色々と雑誌を見たりしてたんです。その時にネイチャー・デコールのお宅が紹介されててオッと思って。
病院って行政の認可なんかの他にも、暗黙の内にドアは引き戸とか、壁は白、照明は蛍光灯とか、不文律的な制約があるんですよ。
でも僕は、病院側の理論や文脈じゃなくて妊婦さんの気が休まるような空間が作りたかった。それもホテル的なエレガントさやモダンさじゃなく、時間が自然にゆっくり融け込んだような空間とでも言えばいいのかな。
いわゆるモダンって、アタマがあれこれ考え始めちゃうと思うんですよ。緊張感が生まれるから。だからアタマで考えずに自然に受け入れられる空間づくりですね。出産後5日間は入院して頂くわけですが、そうした時間にも神経の休まる、ゆっくりできるクリニックに絶対にしたかったんです。お料理や食器やお箸や、本や雑誌や音楽や、そうしたものまで含めて。
ともかく、いい病院を作るぞっていう使命感は凄くありました。
ただ親父が建てた古い病院を取り壊す時には、それは正直寂しい気持ちもありましたね。患者さんにもそう言って下さる方もいて。壊す前には写真にも撮りました。昔は何も気づかなかった親父の工夫や思いが色々発見されて感慨深かったですね。
「五感とか感覚をとても大事にしているから、ネイチャー・デコールに共感できたと思います」
実はネイチャー・デコールに巡り会う前にも別の設計会社に伺ったことはあるんですが、病院ということで断られたことがあったんです。だから今度も断られるかなと思ってたんですが、できますよと言われて。オープンハウスも本当にたくさん見せて頂いて色々な種類のテイストを拝見して、写真で見るだけじゃ分からない雰囲気、空気感を体感していきました。ネイチャー・デコールのスタッフの皆さんとも打ち解けていく内に感覚が合うことも分かってきて、とりわけ僕にとってはスタッフに女性が多いのも良かった。女性の意見を様々に聞けますから。
僕は「感覚」とか「勘」っていうものをとても大事にしているんです。だからネイチャー・デコールのオープンハウスやスタッフの皆さんから感じられた、雰囲気、感覚に共感できたところが大きかった。
「感覚」や「勘」って言うと、曖昧な感じで否定的にとられるかも知れないけど、仕事にしてもそうなんです。産科は他の科のように風邪っぽいとか怪我をしたって方々を診るのとは違うんですね。診察機器も他の科に比べたらとても限られるし検査方法もたくさんあるわけじゃない。だから検診時に異常を見つけるのも「感覚」がないと出来ない。「五感」や「感覚」がすごく重要なんです。
家のことに話を戻すと、ネイチャー・デコールの家を見て「あっこれ」と思ったのも、空気感とか全体感として「いい」と思ったので、それは言葉では言い表せない。正に「感覚」でしたね。
「こうして欲しい、じゃなく、こういうものが好き、を伝えました」
自宅については「こうして欲しい、ああして欲しい」とは言わなかった。僕たちが好きで選んできたもの、服やバイクやクルマや家具といったものから理解して貰ったと思います。希望とか要望としては、大好きな「TRUCK」の家具が似合う家、とか、子供達が走りまわれて料理中や仕事中にもその様子に目が届くリビングならいいと思う、とかそうした伝え方でした。
チーフデザイナーの方に何度も足を運んでもらって、提案して頂いたデザインから選んでいく、というカタチで進めました。
屋根裏のロフトも、リビングを見下ろす部分は最初は手摺りとか柵で考えてたんですが、ありきたりかな、と思ってたら小窓を切っただけの壁にしましょうって言われて驚いんたんだけど、出来たらこれが本当に良かったです。結果的に採用した玄関ドアも写真で見た時はコレ大丈夫かなと思ったんですが、実物で見たら、わぁコレは凄いと驚かされました。
「好きなものにだったら、少しくらいの不都合には体の方を合わせていけばいいと思います」
出来上がった家について、ここがこうだったらもっと良かったのに、という点は殆どないです。
こっちから順応していけばいいと思ってるんで。
でもただ一点、ベランダに繋がる大きな窓には
庇を付けたら良かったとは思いました。陽が入った方がいいに決まってるけど、入りすぎちゃう日差しをコントロールすることも大事だなと。まあリビングが二階だから暑いってのはあると思いますが、夏が暑いのは当たり前のことでどうしようもないですからね。
子供達がまだ小さいけど、大きくなることを見越して10年先のことにも対応できるように、とは僕は考えませんでした。いま好きなものを大切にするしかないと思うんで。子供達を過度にかばうような工夫もしないで、アイアンのらせん階段や暖炉も柵なんか付けずそのままです。でも怪我もやけどもしませんね。危ないと思えばゆっくり降りるし、熱いと思えば近寄らない。
暖炉はいいですね。かけがえのない冬の愉しみです。調理もできるタイプなんで窯焼きピザを作ったりもできるし。暖炉と「TRUCK」のソファの配置は自分達で思い描いてたんで、暖炉のコーナーのレンガ積みなんかは自分達で楽しく悩みながら決めていきました。
僕は古い映画やカメラや日本酒や、大好きなものがあれこれあるんですが、好きなもののことを声高に話せないタイプなんです。好きなものを好きと言えるのは大事なことだと思うんですが、大好きなんだけど、話せない。
でもこの家を建てて、「感覚」や「勘」がとても大事なんだ、そうした要素を大切にする事は重要なんだと、それは自信を以って言えるようになりましたね。
今からもう6~7年前、そもそもは病院を新しく建て直したくて色々と雑誌を見たりしてたんです。その時にネイチャー・デコールのお宅が紹介されててオッと思って。
病院って行政の認可なんかの他にも、暗黙の内にドアは引き戸とか、壁は白、照明は蛍光灯とか、不文律的な制約があるんですよ。
でも僕は、病院側の理論や文脈じゃなくて妊婦さんの気が休まるような空間が作りたかった。それもホテル的なエレガントさやモダンさじゃなく、時間が自然にゆっくり融け込んだような空間とでも言えばいいのかな。
いわゆるモダンって、アタマがあれこれ考え始めちゃうと思うんですよ。緊張感が生まれるから。だからアタマで考えずに自然に受け入れられる空間づくりですね。出産後5日間は入院して頂くわけですが、そうした時間にも神経の休まる、ゆっくりできるクリニックに絶対にしたかったんです。お料理や食器やお箸や、本や雑誌や音楽や、そうしたものまで含めて。
ともかく、いい病院を作るぞっていう使命感は凄くありました。
ただ親父が建てた古い病院を取り壊す時には、それは正直寂しい気持ちもありましたね。患者さんにもそう言って下さる方もいて。壊す前には写真にも撮りました。昔は何も気づかなかった親父の工夫や思いが色々発見されて感慨深かったですね。
「五感とか感覚をとても大事にしているから、ネイチャー・デコールに共感できたと思います」
実はネイチャー・デコールに巡り会う前にも別の設計会社に伺ったことはあるんですが、病院ということで断られたことがあったんです。だから今度も断られるかなと思ってたんですが、できますよと言われて。オープンハウスも本当にたくさん見せて頂いて色々な種類のテイストを拝見して、写真で見るだけじゃ分からない雰囲気、空気感を体感していきました。ネイチャー・デコールのスタッフの皆さんとも打ち解けていく内に感覚が合うことも分かってきて、とりわけ僕にとってはスタッフに女性が多いのも良かった。女性の意見を様々に聞けますから。
僕は「感覚」とか「勘」っていうものをとても大事にしているんです。だからネイチャー・デコールのオープンハウスやスタッフの皆さんから感じられた、雰囲気、感覚に共感できたところが大きかった。
「感覚」や「勘」って言うと、曖昧な感じで否定的にとられるかも知れないけど、仕事にしてもそうなんです。産科は他の科のように風邪っぽいとか怪我をしたって方々を診るのとは違うんですね。診察機器も他の科に比べたらとても限られるし検査方法もたくさんあるわけじゃない。だから検診時に異常を見つけるのも「感覚」がないと出来ない。「五感」や「感覚」がすごく重要なんです。
家のことに話を戻すと、ネイチャー・デコールの家を見て「あっこれ」と思ったのも、空気感とか全体感として「いい」と思ったので、それは言葉では言い表せない。正に「感覚」でしたね。
「こうして欲しい、じゃなく、こういうものが好き、を伝えました」
自宅については「こうして欲しい、ああして欲しい」とは言わなかった。僕たちが好きで選んできたもの、服やバイクやクルマや家具といったものから理解して貰ったと思います。希望とか要望としては、大好きな「TRUCK」の家具が似合う家、とか、子供達が走りまわれて料理中や仕事中にもその様子に目が届くリビングならいいと思う、とかそうした伝え方でした。
チーフデザイナーの方に何度も足を運んでもらって、提案して頂いたデザインから選んでいく、というカタチで進めました。
屋根裏のロフトも、リビングを見下ろす部分は最初は手摺りとか柵で考えてたんですが、ありきたりかな、と思ってたら小窓を切っただけの壁にしましょうって言われて驚いんたんだけど、出来たらこれが本当に良かったです。結果的に採用した玄関ドアも写真で見た時はコレ大丈夫かなと思ったんですが、実物で見たら、わぁコレは凄いと驚かされました。
「好きなものにだったら、少しくらいの不都合には体の方を合わせていけばいいと思います」
出来上がった家について、ここがこうだったらもっと良かったのに、という点は殆どないです。
こっちから順応していけばいいと思ってるんで。
でもただ一点、ベランダに繋がる大きな窓には
庇を付けたら良かったとは思いました。陽が入った方がいいに決まってるけど、入りすぎちゃう日差しをコントロールすることも大事だなと。まあリビングが二階だから暑いってのはあると思いますが、夏が暑いのは当たり前のことでどうしようもないですからね。
子供達がまだ小さいけど、大きくなることを見越して10年先のことにも対応できるように、とは僕は考えませんでした。いま好きなものを大切にするしかないと思うんで。子供達を過度にかばうような工夫もしないで、アイアンのらせん階段や暖炉も柵なんか付けずそのままです。でも怪我もやけどもしませんね。危ないと思えばゆっくり降りるし、熱いと思えば近寄らない。
暖炉はいいですね。かけがえのない冬の愉しみです。調理もできるタイプなんで窯焼きピザを作ったりもできるし。暖炉と「TRUCK」のソファの配置は自分達で思い描いてたんで、暖炉のコーナーのレンガ積みなんかは自分達で楽しく悩みながら決めていきました。
僕は古い映画やカメラや日本酒や、大好きなものがあれこれあるんですが、好きなもののことを声高に話せないタイプなんです。好きなものを好きと言えるのは大事なことだと思うんですが、大好きなんだけど、話せない。
でもこの家を建てて、「感覚」や「勘」がとても大事なんだ、そうした要素を大切にする事は重要なんだと、それは自信を以って言えるようになりましたね。