09.想うこと

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「図面の中に表現しきれないモノって、、」

02.古材01.アイアン04.ロフト&SOHOスタイル02.左官02.タイル02.ブリック11.ネイチャー・デコール02.石20.『TOKYO LOFT STYLE』の家09.想うこと

 

家作りにおいても、ものを事前に目で見て納得して買う、、

それは、カタログだったり出来ているモノが展示されているショールーム

だったり、、それが多分世の中の一般的な家の売り方でもあり、しっかりした

モデルルームを持った、ハウスメーカーなどのやり方です。

 

ところが、ネイチャー・デコールの家には、図面の中の線や仕上げ表で

表現出来ないモノがとても多いのです。

実際のモノが、現物として事前に目にすることが出来ない、、

新規のお客さんにネイチャー・デコールの家の特徴を話すときのひとつに、

そんなことをよく口にしますが、それでは実際にそれってどういうモノなの?

という部分について、過去の事例から具体例をご紹介します。

 

図面の中で表現でないもの、光や影・空気感・など感覚的なものも含め

いくつかありますが、

その中でも、今回はネイチャー・デコールの家で最も特徴的な

「素材・マテリアル」についての話しをしていきます。

「素材」もカットサンプルや色見本で部位としての確認はして頂く事は

出来るのですが、それが空間の中に立ち上がってきて、

他の素材とどのように影響し合っていくかは、もはやイメージスケッチを

見ながら、頭の中で想像してもらう、という部分が必要になってきます。

 

今回の事例は、2011年完成の「TOKYO LOFT STYLE」の家。

僕の中での自信作の一邸です。

 

1.木の表現

描けない.木1

古材を使ったヘリンボーンの床

 

カットサンプルを並べて事前に確認してもらいますが、

古材の配置や色の濃淡、木目の感じや表面のプレーナーの処理で

表情はかなり変わってきます。

 

 

 

 

2.左官のテクスチャー

描けない左官.1

描けない左官.2

描けない左官.3

一番上は、室内の珪藻土のテクスチャー

真ん中は、外部左官のテクスチャー

一番下は、フランス漆喰アバナ

 

これらの素材は、A4サイズの仕上げサンプルで事前に確認頂き、

実際に現場で仕上げる時に再度立ち合いの上、テクスチャーを最終決定

していきます。

A4サイズのサンプル見本からこの左官のボリュームをイメージするのは、

やはり一般のお客さんには難しい様です。

 

 

 

 

3.石やタイルのバランス

描けない石.1

描けない石.2

描けない石.3

描けない石.4

どれも、ネイチャー・デコールの家ではおなじみの石やタイル、ブリック

 

ここでポイントになってくるのは、素材ひとつひとつに表情があるので、

それを大きな面に施工した場合の配置や色バランスです。

同じような色やかたちを近づけ過ぎないで適度にばらしていく。

目地の巾や色、そして目地の深さなどでも仕上がりの印象が変わります。

 

 

 

 

4.スチールの表情

描けない鉄.1

描けない鉄.2

描けない鉄.3

鉄の素地の「黒皮」の状態をどのように自然に見せていくか。

 

塗装の仕上げで色付けをしない鉄本来の「黒皮」の状態はとても良いもので

自然素材の家にも馴染みます。

ただ、素地がそのまま現しになると、鉄の黒い汚れやいずれ錆びてしまう、

そこで、使う場所場所で鉄の素地感を生かした、仕上げ方を変えていきます。

 

特に真ん中の写真の様なキッチンカウンターの上などは、光沢の出ない

ウレタンでコーティングしていくなど、気を使う場所です。

このような場所では、ウレタンを施してもいずれ色も落ちてきたりどんどん

変化をしますが、それも楽しめる包容力も必要ですね。

 

一番下の写真は外部で使用した場合。正直、鉄の素地感というのもからは

かけ離れてしまいましたが、ここはやはり外部なので錆びや耐久性を優先しての

選択で、全体的にはハンマートーンの塗装を施しました。

 

 

 

 

 

5.個々の素材を組み合わせていくと、、、

描けない組みあわせ.1

描けない組みあわせ.2

描けない組みあわせ.

それらのひとつひとつの部位を組み合わせていき、

このような空間が生まれていきます。

 

こうして見てもらうと、ネイチャー・デコールの家はひとつひとつの

素材の持ち味や特徴を吟味し、それを全体に組み合わせたときの

バランスを俯瞰でイメージしながら、積み上げていく。

そんな家の創り方になってきます。

 

確かに「家」とはとても高価なものです。

そんな高価なものなのに、モノを見て納得して決められない、、、

そこは勿論わかりますが、大切なのはモノ単体ではなく、

個の素材がオーナーの求める全体感にマッチした空間であり、

コーディネートのバランスとセンスです。

 

 

家創りのコンセプトを明確化し、

個対応でオーナーの求める独自の世界観を具現化していくためには、

カタログやモデルルームではわからないもの、見えてこないものが、

実は一番必要なのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

「今年のプレゼンも終盤戦」

06.家創りのヒント11.ネイチャー・デコール09.想うこと

 

今年も早いもので残すところあと1ヶ月ちょっと、、

年内の新規住宅のご提案もいよいよ終盤戦に入ってきました。

一年に10家族〜12家族の家を、ガチに向き合って創り上げていくわけですが、

建てる場所も予算も希望するデザインやライフスタイルも本当に皆 様々です。

規格のパッケージやシリーズの家を販売してるわけではないので、

そのオーダーが多岐に渡る、というのも当たり前のことなのでしょうが、

それにしても、巾が広いのです。

 

デザインの面で考えても、リゾートスタイル、ボタニカル&オーガニック、ロフト系

パリ&フレンチシック、ブルックリン等々、、

それこそ自分も色々な国を旅して回らなければなりません。(笑)

 

僕の提案する家は、単なるハードウエアとしての建築ではなく、

そこにオーナーファミリーが人生のステージとして暮らしていく、ということを

想定しながら、建築〜インテリア〜庭といった全ての要素を関連付けて、

等身大で無理のない暮らしの光景を、演出しストーリー立てしていくことです。

その全体感がネイチャー・デコールで行う「暮らしの設計」となります。

 

11月末のファミリーへの家の希望として、

提案のテーマに「サファリスタイル」というテーマを

その家族からあたえられました。

今、頭の中では雄大なサファリを旅してる感じです。

実際、自分自身はアフリカ大陸にはまだ踏み込んだことが無いので、あくまでも

色々な資料を見ながらのイメージの世界ではあるのですが、、

ブログ

 

 

 

 

 

 

 

いちデザイナーとして、ここで大切な事が、

オーナーの希望のイメージをそのまま忠実に具現化するのではなく、

その希望のイメージの裏側を読み取る、という点です。

なにをもって「サファリ」なのか?

よくうちに来られるお客さんでも、PARISが好きで〜、、なんていう人も

多いのですが、よくよく話しを聞いてみると実際PARISに行った事があるわけではなく

その人の想像の中のPARISだったりすることが多いので、

PARISの要素をムンムンに「これですよね!」と提案しても、なんかピンと来てない

そんなことも、多いのです。

特に若いデザイナーはここで更にムキになって、畳みかけるようにこれが本物!

をお仕着せていくわけですが、それではお客さんと

どんどん距離が離れていくばかりですね。

 

オーナーの希望の裏側を読み取ることが最も大切になってきます。

今回のオーナーは、新婚旅行の時にお二人でいったケニア・マサイマラの

経験が「サファリロッジ」に繋がっているようです。

ということは、そこで経験したこと、体験したことを家創りにどのようなかたちで

落とし込んでいくかがこのファミリーが求めるポイントになってきます。

 

1.自然の中に溶け込むような非日常なリゾート感、緑と木に囲まれた感じ。

2.「外」と「中」が曖昧で風や光を感じる

3.サファリへくり出す様なワクワク感、基地のようなイメージ

4.アウトドアリビング

5.ハンモックで昼寝、外にテントを張ってみたり、、

6.ロッジでたき火をしてみんなでワイワイパーティ

「自由」「開放感」「自然を感じる」「ちょっと冒険」

 

そんな、生活シーンがイメージされます。

そしてそういった生活シーンが実現出来る、空間の構成、

ビジュアル作りや素材や家具の選定、設備や機能、ハード面の取りまとめ、、

これらを総合的にデザインに落とし込んでいくことで、

このファミリーが求めている世界観が家創りに実現していきます。

 

ハード面主体の従来の家作りから、「ソフト面主体の家創り」

これからの家創りのスキル、いままでとは随分変わってきてますね。

僕は、20年くらい前から、ソフトから入った家創りがなにより大切と考え

いままでそのアプローチでず〜と提案をしてきました。

 

着いてきてるな、時代が、、、 なんて。

 

 

 

 

「センチメンタルジャーニー・ビリー!」

09.大浦比呂志 LIFE03.ペットと暮らす09.想うこと

 

ちょうど、あのビリーの49日。

 

その節は、たくさんの皆様からの温かいお言葉、

また、お心付けをいただきましてありがとうございました。

ビリーも本当に皆さんに愛され、幸せ者でした。

 

ビリーと離れてしばらくたちますが、やはり想像以上に存在の大きな奴で、簡単に記憶から離れてはいかない様です。。

ちょっとしたときに、こんな時ビリーだったらな〜、、などと考え

また、思い出と共に悲しくなってしまう、

これが、よく言うペットロスなんですね。

 

そんな訳で、ビリーの49日に、ビリーも連れて家族でよく行った

軽井沢方面に向けて、晴天の秋晴れの日に皆で出かけてきました。

 

 

最近は、ビリーの分まで愛情独り占めの、ニコルくんの独占遊び旅ですね。

 

にこ.1

いつも行く、おいしいおそば屋さんからのスタートで。

 

 

 

にこ.2

にこ.3

にこ.4

にこ.5

にこ.6

にこ.7

 

こうして、ニコルと力一杯遊んでやったのも、ビリーが居なくなってから

はじめてかも知れない。。

 

鈍感なニコルでも、ビリーの存在が無い今、犬なりになにか感じて

いるのだろうか?

写真を見ても、顔が笑ってるニコル。

 

 

あっという間の、1泊軽井沢の日。

ボール遊びをしても、ひろーい緑を見ても、水場を散歩しても、

いつも、元気なビリーが思い出されます。

 

やはり、まだまだ時間が掛かりそうですね。

 

センチメンタルジャーニー・ビリー!

晴天の秋の軽井沢。

 

 

 

 

 

「オーナーとの散々なるぶつかり合いの後、、、」

09.NDのオーナーさん09.想うこと20.『ジュエリーデザイナーの家』

 

ネイチャー・デコール新作事例WORKSに、「オーナーズボイス」をいただきました。

 

このお宅「ジュエリーデザイナーの家」では、設計打合せ時の経緯などもこのブログで

お知らせしました。

この仕事に本当に僕が必要なのだろうか?、、、

普段そのような事を思うことは無いだけに、

今回の仕事においては、自分なりに結構 衝撃的だったことは否めません。

 

そんな散々なるバトルを繰り広げたオーナーさんから、家創りが終わって

こうして「オーナーズボイス」をいただくことは、進行中のやりとりを考えると

大げさではなく、本当に奇跡なことかもしれません。

 

こういうお言葉をいただくと、いつも思います。

 

家創りのはじまりも、途中も、そして生活がはじまったその後でも、

たとえどんなことがあっても、こうして限られたチャンスと繋がりの中で

出会えたオーナーさんと事を共におこす、

というだけで、そこには大きな意味があるのだと。

 

また、ひとつの出会いに感謝し、この「オーナーズボイス」

ありがたくいただきました。

 

○オーナーズボイスはこちらから → https://www.nature-decor.com/works/detail104.html

 

関美奈子さん

 

 

 

 

 

「木製製作玄関ドア はじめにお話ししておくこと」

01.ドア09.想うこと

ドアデザイン

 

ドアドア

ネイチャー・デコールでは、いままで数々の玄関ドアを提案してきました。

 

その家の数だけ玄関ドアも様々で、まさにその家の顔。

 

玄関ドアにもいくつかの選択肢があって、そのあたりは設計段階でオーナーさんと

打合せしながら、それぞれのメリット・デメリットを説明し自分たちの家族に合った

玄関ドアが出来ていきます。

 

大きな選択肢としては、

1.その家に合わせてオリジナルでデザイン、製作していくパターン。

2.アンティークを見つけ、それをリペアして使っていくパターン。

3.比較的シンプルな木製ドアの既製品にカラーオーダーしていくパターン。

4.木風のアルミ製既製玄関ドアを使用するパターン。

この、4番目は非常に少ない例で、やはり最近一番多いのが3番目の既製品の木製ドアを

使用していくパターンでしょうか。

 

ネイチャー・デコールの過去の事例から、個性的で印象深い玄関ドアを想像している方に

とっては意外かも知れません。

 

勿論、室内のインテリアドアに関しては、自由なデザイン、自由な素材で製作提案

しておりますが、ここはやはり外部に面した玄関ドア。

オリジナルで製作を決める前に、いろいろな注意点と覚悟も必要になってきます。

 

そんなわけで、今回はオリジナルデザインで製作された木製玄関ドアについての

私どもの過去の失敗も踏まえて、その留意点を少しお話しさせていただきます。

 

一般的には日本のどの家を見ても、そのほとんどがどこそこメーカーの

既製アルミ玄関ドアが使われています。

やはり、日本の気候風土にあった材料で気密性、断熱性、そして日々使うものなので

その開閉性のスムースさや、表面も劣化しにくいメンテナンス性、

更には、セキュリティ性を考慮した鍵 等々、そういったポイントを総合的に

試験〜計画されたのが既製アルミ玄関ドアなので、それだけで何も文句なく採用

していくのが、世の中ごく一般的なことなんでしょう。

 

ただし、デザインのされたネイチャー・デコールの家において、

その既製アルミ玄関ドアが付いたシーンをイメージしてください。

、、、相当の妥協の上でないと、これは成り立たないことは一目瞭然にお解りと思います。

なので、うちで既製アルミ玄関ドア選択するオーナーさんは、1割にも満たないでしょう。

 

なぜ、世の中にはオリジナルデザインで製作された木製玄関ドアが少ないのか?

 

簡単に言ってしまうと、そこには相当なリスクが伴うからです。

 

ただ、リスクがあるからといって、すぐにそれを止めるでは、

ネイチャー・デコールスピリットに反してしまうし、住宅建材にしてもパーツにしても

使い勝手や安全性を最優先してしまえば、

デザインされた家なんてそもそも出来上がりません!

 

それではそのリスクをどう、ヘッジしていくかについて話しを進めていきます。

 

まず一番大事なのは、オーナーさんに起こりうる色々な事や過去の事例でのことを

十分説明し、単に格好いい!とかオシャレ!だけではないことを伝えていく。

それを理解頂いた上で、一緒に作っていくことの同意をいただく。

 

そこで、具体的にデザイン〜製作の中でどうリスクヘッジしていくか。

 

1.乾燥度合いの高い木を選定していく。

2.くるいの少ない堅木を選定していく。

3.木の風合いは生かしつつも、無垢は使わず、積層したり下地に金物を使ったりしていく。

4.後々の木の伸び縮みの調整が可能な枠納まりにしておく。

5.デザインも大切だが、框や木の組み方を考慮したデザインにする。

6.極力雨をしのげるように庇をのばしていく。

7.ポーチなどを作り、直射日光が直に当たらないような環境設計にしていく。

大きなポイントとしては、以上を更に細かく考慮しながらデザイン〜製作しています。

 

このようなプロセスを踏んで製作したものであっても、完全とは言えません。

 

その時期の雨が多い、少ない、湿気が多い、少ないによって木も変化します。

毎年同じ時期に木が膨張して開きにくくなったり、また乾燥してドアに隙間が生じたり、

そういう規則的なことでもありません。

また逆に、さほど不具合なく普通につかえてみたり、、

使う人によってもストレスの受け方も、これまた様々です。

 

その様な理由から、正直 なかなか想定できないことが多々あるのが、

オリジナルデザインで製作された木製玄関ドアなんです。

 

なので、カッコだけじゃない!デザインだけじゃない!ということを事前に

話した上で採用いただくようにしています。

 

 

そういうことがあっても、その家だけのオリジナルデザインで製作された木製玄関ドアは

インパクトのある家の顔となってきます。

お仕着せる訳ではありませんが、ここは多少手間と維持費用が掛かっても、

愛着もってケアしながら、長いお付き合いをしていただきたい。

 

これが僕の思いでもあります。

 

僕の家もようやく16年が経過しましたが、

やはり気まぐれな玄関ドアは時々やせたり太ったりを繰り返してくれます。(笑)

なんか、人間のようですね〜